コンセプトデザイン

<CONCEPT 03:コンセプトモデル(携帯電話) 2002年>

これをデザインした2002年当時の携帯電話のデザインは、没個性、没オリジナリティなもので溢れていて、今思うとそれは「完成されたデザイン」だったのかもしれない、と考えることがあります。ただし、そこに不満を持つ人もいました。私のように。

当時の携帯電話のデザインは、丸みのあるヌルっとした感じのものが多く(ページ下参照)、デザインよりも多機能を誇示したり、光る・回転するといったギミック偏重にシフトしていました。携帯電話に限らずテレビやトースターといった家電は、長年の開発と進化によって各社に差が生まれないコモディティ化が起こります。2002年の携帯電話市場もまさにそのような状況だったのではないでしょうか。そういった意味で「完成されたデザイン」だったのかもしれません。

その後、2007年(日本では2008年発売)のiPhone誕生が、それまでの携帯電話というものを根底から変えたゲームチェンジャーとなったことは言うまでもありません。ただし、日本市場だけに目を移すと、auのDesign Projectから深澤直人のINFOBAR(2003年)、マーク・ニューソンのtalby(2004年)、吉岡徳仁のMEDIA SKIN(2007年)といったそれまでのデザインとは一線を画したプロダクトが発売され、携帯電話の市場にデザインの重要性を説きました。


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コンセプトデザイン

このCONCEPT 03は、そのようなauのDesign projectやiPhoneが世に出る前の、デザインに不満を抱いていた人間が理想を形にすべく絵にしたものです。本体素材はマグネシウム、もしくはチタンを想定しており、高硬度かつ軽量化を実現します。一方、操作キーなどは樹脂製で金属との美しいコントラストを生みます。(当時の携帯電話の本体は樹脂製がほとんどでした。コスト面の理由が大きいのでしょうが)

操作キーは、メールを書くときの入力デバイスとしての役割が大きいため、できるだけ大きい方が使いやすいと考えました。すなわち、小さな本体に最大のボタンサイズを考えた場合、ボタンそのものが本体の面を構成していればいいという考えにいきつき、このデザインとなりました。(デザイナーであれば誰しも思いつくアイデアの一つとは思いますが、そのようなデザインはほとんどありませんでした)

“軽く、薄く、使いやすい”原点回帰とも言えるコンセプトですが、決して過去へ戻るわけではありません。デザインという行為は、温故知新ならぬ、温故創新と考えています。


コンセプトデザイン

本サイトへ掲載するにあたり、ボタン上の数字などのグラフィックは、リデザインしております。


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2002年発売の携帯電話

参考までに2002年発売の携帯電話を載せておきます。

出典:「au ケータイ図鑑」 

※携帯電話デザインの変遷を見れるアーカイブとして興味深いです。個人的には90年代初頭のプロダクト然とした無骨なデザインに惹かれます。


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